ドクターが答えるQ&A
監修:がん研究会有明病院 副院長
総合腫瘍科部長 ゲノム診療部長 髙橋 俊二 先生
骨転移とはどういうものでしょうか?
-
がんが大きく成長すると、がん細胞は血液やリンパ液の流れにのって他の臓器(骨、肺、肝臓、脳など)に移動し、そこで増殖します。がん細胞が骨に移動して増殖することを「骨転移」といいます。
がん細胞は必ず骨に転移しますか?
-
すべてのがん細胞が骨に転移するわけではありません。骨転移の起こりやすさは、がんの種類によって異なります。特に、乳がん、前立腺がん、肺がんでは、骨転移の頻度が高いことが知られています。
なぜ、がん細胞は骨に転移するのですか?
-
骨には「がん細胞が大きくなるために必要な成分」が豊富にあるからです。骨は、古い骨を溶かす破骨細胞と新しい骨を作る骨芽細胞がうまくバランスを取りながら働き、常に生まれ変わっています。しかし、転移したがん細胞は、ランクルという物質の生産を促進し、破骨細胞の働きを過剰に活発にします。その結果、破骨細胞が骨をどんどん溶かしはじめ、溶けた骨の成分を取り込んで、がん細胞はさらに大きくなります。
がん細胞が骨に転移すると何が起こりますか?
-
骨転移が起こると、痛み、骨折、脊髄圧迫によるしびれや麻痺、高カルシウム血症などの症状を引き起こし、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。したがって、早期に治療を開始することが大切です。
骨転移がわかってからの予後はどれくらいでしょうか?
-
乳がん、前立腺がんなど比較的進行が遅いがんの場合は、骨転移が見つかったとしても比較的予後がよく、転移の診断後も3年~5年と、がんとの共存を続けている方は少なくありません。